この数字なーんだ?【103】川崎市誕生から今年で100年。そのきっかけとなった浄水場は103年前、幸区にできたんだよ!

オリーブの木下で Vol.2『原点』

母になりたての頃の話。

初めて授かった娘は、とてもよく泣く赤ちゃんでした。

毎日毎日、母乳を与え、抱っこして、やっと眠った…と布団に寝かせるやいなやギャーと泣きだし、また同じことの繰り返し。

母は思い込む“こんなに泣くのは私の母乳が足りていないから⁈” と。

誰かに相談したかった。けれど、里帰り出産のため産んだ産院は遠く、医療施設受診案件ではなく、保健所で乳房は診てもらえない。

「こんな時どこに相談したらよいのだろう…」とポツンとした。

そんな時、近くの公民館で地域の方々が主催される集いに足を運び、そこにいた開業助産師さんに悩みを伝えた。そのおばあちゃん先生は、ひょいと娘を抱き上げて一言「この子がオッパイを飲めていない子に見えるかい⁈」。

その時視たのは、丸々とし肌つやもよく健やかに笑っている娘の姿。人の手に抱かれている娘を客観視でき、なにかがストンと心に落ちた。「この子、母乳は飲めている。よく泣くのは私のせいではない」と理屈抜きで感じ、「抱かれることを必要とするこの子は抱いて育てればいいのだ」と腹が据わった。

助産師さんは、娘の体重を測るでもなく、私の乳房を診るでもなく、たった一言で見事に母親の気持ちを楽にした。

「こんな支え方もあるのだ!」

勤務助産師をしていた私は、いつかの未来に子育ての場( 家庭) のそばに根をおろし、母の歩む道がしんどい時に支える杖になりたい、と先の道が見えた気がした。

そしてその8年後、次男出産後すぐに“あ、いまだ!” と助産院の開設届けを出したのでした。

開業から22年、なりたかった“プロの知識を持った近所のおばちゃん” になれてきたのなら嬉しくおもいます。

結婚当初から幸区に住み、3人の子育て時期を過ごしてきた2001年に助産院を開設。母乳・授乳・育児相談、両親学級・母乳講座・ヨガクラスを開催。痛くない母乳マッサージが定評。現在、川崎市助産師会の会長として、川崎市の母子保健の推進に尽力。